声明

名古屋市住基ネット「離脱」表明に関する声明

名古屋市住基ネット「離脱」表明に関する声明

2010年1月21日
反住基ネット連絡会


名古屋市の河村たかし市長は2010年1月19日、原口一博総務大臣に住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)から離脱したいという考えを伝え、マスコミの取材に同市の来年度予算に住基ネット維持費を「計上するつもりはない」と明言しました。
 私たちは、この河村市長の方針を歓迎するとともに、断固支持します。河村市長はその方針を貫き、来年度より住基ネット離脱の準備に具体的に着手すべきです。
 また、総務省や愛知県においては、名古屋市の自治権を尊重し、その行動をいたずらに妨げないよう求めます。

河村市長も「人間に番号をつけて国が統合的に管理するのは、民主党政権の1丁目1番地である地域主権ともっとも対立する概念」*1と述べているように、住基ネットのアーキテクチャは、ツリー型のネットワーク構造に表されるように、中央集権そのものです。本来は自治体の主権者を確定するための名簿にすぎなかった住民基本台帳の情報を、住民からも自治体からも直接同意を得ずに収集し一元管理する仕組みが、それを端的に表しています。制度内にはらまれたこの大きな矛盾が、住基ネットの問題の根本です。

中央政府の事務における何らかの電子化・ネットワーク化が求められるとしても、この仕組みはあまりにも旧態依然、現実社会で進行しているネットワーク社会の深化に適応できるものではなく、日本政府が進めようとしてきた電子政府・自治体の発展に対する大きな阻害要因として働いてきました。このことは年金事務以外に広がらない利用*2、普及しない住基カード*3などを見ても明らかです。
 住基ネットが地方・中央を問わず行政IT化の「ボトルネック」となっていることは、すでに推進する側の専門家や技術者ばかりか、中央政府内でも「事実上の共通理解」になっています*4。当然のことながら私たち住民にとっても、一部の方々が住基カードによって身分を証明できたほかに、利便性の実感はないと言っていいでしょう。
 それでもなお、中央政府がこの「失敗したシステム」にしがみつくのであれば、それは明らかに「国民総背番号制」の確立を意図するものにほかなりません。

つまり、住基ネットは今や「税金の無駄づかい」以外の何ものでもないのが誰の目からも明らかです。原口総務大臣が選択制を含めた見直しを表明*5したように、無駄づかいの徹底排除を目指す民主党が検討の俎上に乗せるのは当然のこと。むしろ、遅きに過ぎたくらいで、私たちは住基ネットが「事業仕分け」の対象とならなかったことに疑問を感じていたくらいでした。中央政府にとって無駄づかいなら、地方自治体が「無駄」と判断するのも当然のことで、民主党政権が今回の名古屋市の判断を支援こそすれ、規制するようであれば、その矛盾した行動から有権者の支持を失うことになるのは間違いありません。

河村市長の表明通りに名古屋市が離脱するのであれば、これで住基ネット不参加自治体は、すでに離脱をしている国立市、矢祭町を含めて3市町。人口では234万人余りで、住基カードの累計枚数と同規模になります。これだけでも大変なことですが、この流れは今後も変わらず、第4、第5の離脱自治体が続いていくことでしょう。
以上

<注>
*1:2010年1月19日20時37分付『Jcastニュース』
http://www.j-cast.com/2010/01/19058265.html
*2:国による本人確認情報の利用は99.5%が年金事務関係(2009年8月28日付官報号外186号「指定情報処理機関における本人確認情報の提供状況に関する公告」)
*3:2008年11月30日現在の全国の発行枚数は累計約283万枚、普及率約2.4%(第18回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会資料)
*4:2009年12月末のIT戦略本部「次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチーム 中間報告」には、それまで形式的に言及されていた「住基ネットの活用を検討する」などの記述がなくなっている。「電子私書箱」やそれを前提とする「バックオフィス連携」構想の内容は、「住基ネットを基幹システムとする電子政府・電子自治体構想」の失敗を受けたものであるのは明らか。
*5:2009年12月25日付『毎日新聞』など



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