声明

社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会
「中間取りまとめ」とパブリックコメント実施方法に
抗議する声明

社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会
「中間取りまとめ」とパブリックコメント実施方法に
抗議する声明

2010年8月5日
反住基ネット連絡会


私たちは全国の市民グループ、地方議員、労働組合、ネットワーカーなどの集まりです。2002年の第一次稼働前から、住民基本台帳ネットワーク・システム(住基ネット)の反対運動に取り組み、プライバシー権の保護と国家による個人情報利用に少なからぬ関心を寄せてきた者です。
 民主党政権・国家戦略室は2010年6月29日、社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会による「中間取りまとめ」を公表、続いて7月16日、これに関する意見募集(パブリックコメント)を開始しました。
 しかし、この「中間取りまとめ」の内容及びパブコメの実施方法には、無視できない大きな問題があります。
第一、この「中間取りまとめ」は、一番肝心の「何のために番号制度を作るのか」という論点がまったく欠落していることから、パブコメに値するものとはとうてい言えません。
 番号制度というと、勢い番号そのもののあり方に目が向きがちですが、それは本質的問題ではありません。この場合の番号とは、しょせんデータマッチングの道具に過ぎず、そして、そのデータマッチングすら、制度の本当の目的ではなく、制度が目的とする価値を創造するための「手法」に過ぎないのです。この点は、番号制度に対する賛否や価値観のありようとは無関係の客観的事実です。
 ということは、新たな番号制度について市民の意見を求めるならば、まず示されなければならないのは、制度の目的たる「どんな価値を創造するか」という点です。それが示されて初めて、私たち市民は、まずその価値に賛同できるか、そして賛同できるならば、その価値を創造するにふさわしい方法か、その方法のリスクやコストは新たに創造される価値にふさわしいものなのかが評価できるわけです。
ところが、今回の「中間取りまとめ」では、利用範囲や番号の種類、保護のあり方など、単に手法についていくつかの選択肢を示したに過ぎません。これではまるで、目的地を知らせずに、そこまで乗っていく自動車の車種の選択を迫るようなものです。目的地を知らされない私たちは、当然、そこまでの道のりがわかりませんから、スポーツカーが良いのかセダンが良いのか、はたまた四輪駆動が向いているのか、判断できるわけがないのです。
 それでもなお、手法の選択肢を聞くのであれば、それは単に「趣味」に基づいた人気投票をするに過ぎず、政策目的に有意義なコンセンサスの形成という、パブコメ本来の目的に何ら資するものではありません。これは、「税金の無駄づかい」が大嫌いなはずの民主党政権らしからぬ行為です。
「中間取りまとめ」に制度の目的論が欠落している点は、「プライバシー権の尊重」という意味でも、非常に大きな失態です。
 いかに法律による根拠があるとはいえ、本人の同意なくデータマッチングを行うことは、プライバシー権の制限にほかなりません。この立場に立つなら、今回の番号制度は、制度間で個人情報をマッチングするために導入するものですから、これはプライバシー権の制限にほかなりません。少なくとも、従前よりはプライバシーへのリスクが高まることは、客観的事実と言ってよいでしょう。
このことをしっかりと認識しているなら、まず第一に、制度の目的、すなわち「公共の利益」をしっかりと「中間取りまとめ」に書き込んでいたはずです。なぜなら、人権の制約を受ける当事者たる市民がその目的に納得して初めて、その制約に合理性が生まれるからです。
 しかるに、それが書き込まれていないということは、この国の中央政府は、いまだに「それ」が人権の制限にあたるという認識がないことを示しています。この点は、前自民党政権と何ら変わらず、失望を禁じ得ません。
さらに、本声明で述べられているような指摘を受け付けるのが、本来のパブコメです。ところが、今回は「中間とりまとめに示されている選択肢についての御意見を募集するものであり」などと、わざわざ但し書きをして意見の出し方に大幅な制約を設けるなど、とてもあるべきパブコメの姿とは言えません。こんな方法で、プライバシー権の制約を伴い、数千億から1兆円規模のコストを必要とする制度の新設について、合意形成が図れると思ったら大間違いです。
このような点を踏まえ、国家戦略室は現在実施しているパブコメを即刻中止し、「社会保障・税に関わる番号制度」の議論自体をはじめから仕切直すべきです。
以上


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