声明・申し入れ・意見書など

箕面市の「住基ネット選択制」採用方針を
歓迎する

箕面市の「住基ネット選択制」採用方針を
歓迎する

2007年6月13日
反住基ネット連絡会


箕面市は2007年5月29日の記者会見および6月4日市議会本会議において、住基ネット「選択制」の採用について、「『控訴人については大阪高裁判決に基づき実施する』とともに、『住基ネットでの自己情報の運用を希望しない他の住民については、実現に向けて努力をする』との方針」であること発表をしました。これは、3月31日に出されていた箕面市住基ネット検討専門員(検討会)「答申」の実施に向けて、具体的な準備の段階に入ったことを宣言するものです。

多様な「選択制」があり得ることを示した

「住基ネット」は多くのきわめて困難な問題を抱えた制度として廃止するほかないものですが、箕面市が今回、自治体としての判断に基づいて「選択制」を採用しようとしていることを、私たちは大きく歓迎します。
従来、「選択制」の具体的議論は、挫折した横浜市や訴訟進行中の杉並区における「横浜方式」だけでした。それは、住基法(住基ネット条項)の弾力的運用として、「段階的な全員参加」を前提とする「暫定的選択制」です。そして「全員参加」の要件は「情報セキュリティ上の安全の確保」だとされてきました。
しかし、現在箕面市で制度設計が進められようとしている「選択制」は、「危険が想起される限り、住民票コードの削除を認めるべき」(2006年12月7日、箕面市議会本会議における市長説明)とする考え方にもとづくものであり、「全員参加」を特に予定するような暫定的制度運用ではありません。これは、希望する個人に対して、基本的人権としてのプライバシー権(自己情報コントロール権)侵害の「排除」を提供するものです。
国立市あるいは矢祭町の自治体としての判断(不接続・切断)が、横浜市あるいは杉並区とは異なる基礎にもとづいて行われているように、箕面市の「選択制」でもまた、箕面市独自の判断の基礎が構成されています。住基ネット1次稼働から5年を経過した現在において、このような自治体ごとの「多様な選択制」がありうることを新たに示したという意味でも、私たちは箕面市の「選択制」を高く評価したいと考えます。

自治にもとづく「選択制」の合法性

読売新聞の報道によれば、5月29日の箕面市による記者発表に対して総務省などは、

   ・原告の削除の場合は判決の根拠がある
   ・選択制の場合は法律違反の可能性がある


との見解を示したとのことでした。他紙の報道を含め、従来から総務省の見解は、「選択制は違法」と断定するものだと考えられてきましたが、5月30日の読売新聞報道の段階で、この見解は明らかに転換されています。
総務省はようやく、「選択制は違法」とする法解釈を市町村に押しつける権限を自分たちが持たないことに気づいたようです。総務省には、「違反の可能性」を「意見」として述べること以上の権限はありません。
「原告の削除」が適法であるとするなら、自治体が「選択制」を採用してもその違法性を問われることがないのは、「答申」が指摘するように、「法のもとでの平等」の憲法原則から見ても論理的必然です。
憲法を含む法解釈において、日本政府(総務省)が自治体に優先することはありません。ですから、自治体ごとに多様な根拠・法解釈にもとづいた「選択制」があり得るでしょう。そしてこれは、団体自治のレベルでの「選択」――現に矢祭町・国立市・杉並区で採用されている「切断」を含む、「自治の多様性」です。
本年4月から内閣府の地方分権改革推進委員会で精力的に進められている地方分権議論では、こうした国に対する自治体の自律はますます明確になるでしょう。同委員会は、5月30日付けで公開した「基本的な考え方」の中で、「地方政府〜自治行政権・自治財政権・自治立法権を有する完全自治体を目指す」とすると同時に、

   補完性・近接性の原理にしたがい、
   ニアイズベターの観点に立って
   地方自治体、とくに基礎自治体を優先する。


ことを明記していました。総務省による市町村への法解釈の押しつけは、すでに現行法制度上も過去の慣習でしかありませんが、そのような総務省の態度は今後ますます、非現実的なものになっていくでしょう。
「プライバシー権」に関わる行政が、「生存権」とともに個人(地域住民)にもっとも近接した行政課題である以上、地域住民の「個人情報」の保有・運用に最大の責務を負っているのは、その直接収集者である市町村です。
プライバシーの観点からも、情報セキュリティの観点からも、「危険が想起され」ないような制度やシステムがあり得ない以上、個人情報を運用する行政システムは、何らかの形で「自己情報コントロール権」に適合した設計と運用が採用されなければなりません。箕面市の「選択制」は、このことをはっきりと示すものです。

以上


ダウンロード
印刷用全文 PDF 15kバイト