声明

「個人情報の政治(politics)」の構築は
行政の必須課題になっている
箕面市に対して出された、9月6日付大阪府「勧告」について

「個人情報の政治(politics)」の構築は
行政の必須課題になっている
箕面市に対して出された、9月6日付大阪府「勧告」について

2007年9月10日
反住基ネット連絡会


大阪府は9月6日、箕面市に対して「住民基本台帳法に規定する事務の適正な執行について」という勧告を行いました。その内容は、住民基本台帳法に対する「大阪府の解釈」(基本的には総務省市町村課が従来から示してきた「見解」と同じもの)の承認を、箕面市に対して一方的に要求するものです。

大阪府「勧告」は、市民社会の要請に逆行している

「住基ネット――行政機関による個人情報の収集・利用」を促進するためには、日本の市民社会全体が持っている「行政不信」に対して、これを積極的に取り除くための行政による具体的な努力の積み重ねが必要だとする指摘は、以前から行われてきました。そして、昨年末の箕面市における「大阪高裁判決の確定」以降、日本の市民社会から改めて注目され、その実践が行政機関に求められているものです。
しかし今回の大阪府の「勧告」は、行政に対する市民社会の「不信」を拡大するものではあっても、そこから「行政への信頼を回復」しようとする大阪府の意思を読み取ることはとうていできません。
私たちは、以下の3点を大阪府に求めます。
  • 「地域の特性」の尊重
  • 「法の下での平等」に対する大阪府の考えの明示
  • 「説明責任」の履行

「地域の特性」を前提とした相互理解への大阪府の努力を求める

私たちはまず、大阪府と箕面市との間にある意見(法解釈)の相違の克服のために、「地域の特性の尊重」を前提とした相互理解の努力を重ねるよう、大阪府に求めます。
箕面市の立場と見解(法解釈)の詳細は、公開されている「箕面市住民基本台帳ネットワーク検討専門員<答申>」において、その根拠とともに詳しく述べられています。しかし大阪府の「勧告」には、こうした箕面市の「地域の特性」を理解し尊重しようとする態度はまったく見えません。今回の「勧告」が、「拘束力や強制力はないが、『改めて再考を促す手段と考え』」て(「日本経済新聞」2007年9月7日)出されたものであったとしても、その内容からは、市町村と都道府県との間での「地域の特性」を尊重した相互理解に基づく協力関係は形成されないでしょう。
これは箕面市民、大阪府民、そして日本の市民社会全体にとって、とても不幸なことです。

「自己情報の運用を希望しない住民」の

「法のもとでの平等」に対する

大阪府の考えが明らかにされることを求める

私たちは、「住基ネットでの自己情報の運用を希望しない控訴人以外の住民」に対する憲法上の「法のもとでの平等の原則」の適用について、大阪府がその考え方を明らかにするよう、とくに求めます。
「勧告」が「法に違反する」として「住民基本台帳事務を適正に執行する」ことを求めたのは、すべて「住基ネットでの自己情報の運用を希望しない控訴人以外の住民」の個人情報の取り扱いに関するものでした。「大阪高裁判決」の実施(控訴人の「住民票コードの削除」と大阪府へのその通知)については、なんら異議を唱えていません。
 2007年5月30日の読売新聞報道によれば、この点について総務省は「原告の削除の場合は判決の根拠があるが、選択制の場合は法律違反の可能性がある」との見解を示すにとどめ、「総務省の法解釈」を採用するよう特に箕面市に求める意思は表示していません。
「住基ネットでの自己情報の運用を希望しない控訴人以外の住民」に対する憲法上の「法のもとでの平等の原則」の適用について考慮しなければならなくなった箕面市の立場は、「大阪高裁判決」の確定にともなって発生した「地域の特性」です。
 総務省の見解は、この「地域の特性」を地方自治法2条12項・13項、憲法92条などに即して尊重する態度を含むものですが、大阪府の今回の「勧告」には、このような「地域の特性の尊重」を超える判断が明らかに含まれています。
したがって、大阪府が今回の「勧告」において「法に違反する」と判断した根拠は、明確に説明される必要があります。

大阪府民と市民社会全体に対する

大阪府の説明責任の履行を求める

また私たちは、このような内容の「勧告」を出した大阪府の考え方とその根拠および大阪府民の利益について、箕面市および箕面市民の考え方や利益と対比しながら、地域住民(箕面市民を含む大阪府民)に詳しく説明することを、大阪府に求めます。
「住基ネット」が市民社会全体の利害に深く関係しているため、この説明は日本の市民社会全体に対して広く公開される必要があります。

「個人情報の政治(politics)」構築に向けた努力を

行政における「個人情報」の収集・運用・活用をめぐって、今回の大阪府「勧告」のような一方的な威圧ともいえる「政治」が現在の日本社会では現実に行われています。しかしこのような伝統的な手法が、ネットワーク社会の深化に適応できないことは、箕面市で現在進められている試みの中に端的に現れているといえるでしょう。  「個人情報」の社会的な流通量や「個人情報」収集・運用の「リスク」の急激な増大という現実の課題に対して、伝統的な「威圧による政治」はなんら建設的な結果をもたらしません。
ここではおそらく、
  • 「情報の公開」
  • 「説明責任の履行」
  • すべての利害関係者の「参加」
  • 「相互理解に基づく合意形成」
などの民主主義の原則を基礎とする「行政機関による個人情報の取り扱いに関する社会的合意形成の原則――個人情報の政治(politics)」の構築が、行政と市民社会の必須の課題になっています。




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