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反住基ネット連絡会

連続講座 第15回

住民とは誰か
外国籍住民の包摂と排除の観点から

「外国人台帳」制度創設の動きの中で


 日時:2009年2月23日(月)pm18:30〜21:00

 会場:東京・文京区:ピープルズプラン研究所 会議室 Map

 講師:高谷幸さん(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)

 参加費:500円




 もうすぐ国会に「外国人台帳制度」を含む「新たな在留管理制度」のための法案が提出される予定です。

 今回の反住基ネット連続講座では、移住連の高谷幸さんのお話を手がかりとして、「移住労働者」とすでに「ともに暮らし」始めている私たちの地域社会にとって「住民とは誰か」をいっしょに考えながら、私たちを取りまく管理社会・監視社会を地域から解体していく道を探りたいと思います。

 

包摂と排除  




 外国人労働者・家族を支援するために、多くのNGOの人たちは

  それぞれ(の「外国人」当事者)に応じた「住民」への「包摂」を求める運動
  (「住民」証明の運動)


を展開してきたが、「非正規滞在者」などについては

  「新たな在留管理制度」の構築により、
  非正規滞在者にとって「住民」証明手段がなくなるおそれ


があると、講師の高谷幸さんは指摘しています。「安定した生活」ができない人たちを、私たちの地域社会は「排除」していいのでしょうか?!

 ここには、「安定した生活」からこぼれ落ちる「外国籍者」と「日本国籍者」を生み出し「排除」し続けている日本社会のクリティカルな問題があるのだと思います。

 「住民」とは、いったい誰なのでしょうか?


「在留外国人」と「外国籍住民」  




 「新たな在留管理制度」の内容を、日本政府は、現在の「外国人登録制度」(市町村の法定受託事務)を法務省が直轄する「在留カード制度」として出入国管理法に統合・一元化すると同時に、市町村の自治事務として行政サービス提供のための「外国人台帳制度」を創設するものだと説明しています。
 いずれにしても、「外国籍者」に対する在留管理はまちがいなく強化されるでしょう。

 「新たな在留管理制度」には、「在留外国人」がいるだけで「外国籍住民」はいません。
 たとえば、すでに約200の市町村が「住民投票条例」によって、「国籍・在留資格」を問わない「地域社会の運営への参加」を選択している現実があるにもかかわらず、日本政府の「外国人台帳制度」構想は「外国人地方参政権」を否定しています。
 また総務省は、「在留資格を持たない外国人(非正規滞在者)」を外国人台帳に「記載せず」、あるいは在留資格を失った時点でこれを「消除(削除)する」としています。
 「入管制度が生み出している」と指摘され、多いときには30万人以上、現在でも20万人近くいるといわれる「オーバーステイ」(在留期間を超えた「非正規滞在者」)などの人たちは、基本的人権の最低限の保障としての市町村の行政サービスから、厳しく排除されることになりかねません*1

*1:現在の「外国人登録法」は登録対象者からこうした「非正規滞在者」を排除していません。また、「地方自治法」も「住民」の要件として「国籍・在留資格」を求めるものではありません。
 このため、いくつかの市町村は現在、「外国人登録法の目的(外国人の適正な管理)」を越えて、外国人登録原票の個人情報を「外国籍住民への行政サービスの提供」のために流用しています。しかし「外国人台帳制度」のもとでは、現在かろうじて提供されている「非正規滞在者」への行政サービス(基本的人権の保障の一部)はできなくなるでしょう。

少子高齢化社会と「外国人政策」  




 現在、世界規模の不況が深刻化する中で、「在留資格が不十分だ」とする理由で、多くの「非正規滞在外国人」が派遣労働者などよりも先に解雇・雇い止めを通告され、生活の基盤を奪われています。この問題は今後数か月以内に、「帰国すらできない移住労働者」の問題として、社会問題化すするかもしれません。
 しかし一方で、少子高齢化が深刻なレベルにある日本社会は2005年から人口減少期に入り、労働人口と経済規模の急速な縮小が確実になっています。このまま人口減少が進めば、日本の社会はインフラの維持すらできなくなることを日本政府自身が指摘し続けています。「移民の受け容れ」は、現在の経済情勢に関わりなく、日本社会が検討することを避けることができない「社会的選択課題」のひとつです。そして多くのヨーロッパ諸国は「移民」を受け容れてきました。そこにはいくつもの混乱と不幸があったことは事実ですが、日本社会はヨーロッパ諸国の経験を学ぶことができる立場にいます。


   グラフのクリックで原資料を開く▲
   「平成19年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(概要版)」内閣府

 「安価な労働力源・景気変動に対する安全弁」という日本政府や財界の「外国人労働者導入」政策はもはや通用しなくなっていて、財界と日本政府の一部は、はっきりとその方向に政策転換を始めています。この課題は、「失業率が高まっているから外国人労働者はいらない」といった近視眼的な判断とは関係のない、中長期的に見れば「クリティカルな現在の政策課題」だというのが、日本政府の認識です。法務省と総務省が出した今回の「新たな在留管理制度」構想が適切なものだとはいえないでしょう。

 そしてこの「少子高齢化」の問題は、地域社会ではすでに深刻な現実になっています。だから日本政府の認識に則しても、「外国籍住民」という課題は日本政府が占有する政策課題ではありえません。



 プログラム



◇報告
住民とは誰か
高谷幸さん(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)

◇質疑・討論


●会場案内:ピープルズ・プラン研究所 会議室 Map
東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル 2階
地下鉄有楽町線「江戸川橋駅」1-b出口徒歩3分
地下鉄東西線「早稲田駅」1番出口徒歩15分
地下鉄東西線「神楽坂駅」2番出口徒歩15分

主催 :反住基ネット連絡会
問合せ:電話、ゼロサン ゴーイチゴーゴー ヨンナナロクゴー(日本消費者連盟)